日本におけるMaaS

2023年2月27日

新たな移動概念の登場、MaaS(Mobility as a Service)とは?

移動の革命といわれている、MaaS。当初交通業界で注目を集めていましたが、昨今業界範囲を拡大し、物流や医療・福祉業界においても注目されています。MaaSにより我々の生活がより便利に、そして快適になると言われていますが、MaaSとは具体的にどのようなものか、MaaSにより我々はどんなメリットを享受できるのか、日本におけるMaaSの統合レベル、MaaS実現のために必要なものについて本記事で解説していきます。   MaaSとは MaaS(Mobility as a Service)とは、複数の交通機関や移動に関わるテクノロジーを最適に組み合わせて人単位の移動ニーズに合わせて検索・予約・決済できる移動サービスとして統合することと定義されてきました。しかし、昨今はMaaSの概念が物流など様々な領域に拡張しており、MaaSが日本より先行している海外においても研究者によってMaaSの定義内容や適用範囲が分かれており不明瞭となっています。ただ、分かっている範囲に限っても、MaaSは複数の交通機関(鉄道、バス、タクシーなど)とそれ以外の業界(物流、医療・福祉、小売りなど)のサービスの連携により、利用者の需要に応じた地域の課題解決につながる重要な手段といわれています。では、具体的にどのような地域の課題をMaaSが解決できるのでしょうか。   MaaSで解決できる地方課題 MaaSを使用することで、地域が抱える各種課題を解決できるといわれています。解決できる地域課題について一例をあげると、地域や観光地における移動の利便性向上、既存公共交通の有効活用や、外出機会の創出と地域活性化、スマートシティの実現などがあります。ここでは、MaaSがどのようなことを実現し、どのような地域課題を解決するのか一つずつ説明します。 既存公共交通の有効活用による都市部の交通渋滞の解消 MaaSが普及することで、鉄道やバス、飛行機など複数の公共交通機関の利用ハードルが下がったり、タクシーやレンタカーを定額で使えたりするようになります。これにより自家用車を使用する人が減り、都市の交通渋滞が減少すると考えられています。 外出機会の創出による地方の地域活性化 MaaSにより乗合タクシーやバスが手軽に利用できるようになることで、公共交通機関の利用者数が少ない地方在住者や、自動車免許を返納した高齢者が移動手段を確保して外出することが容易になります。また、移動手段が限られているという理由で観光客の足が遠のいてしまう観光地域に対して、MaaSによる移動の利便性向上により、観光客が往訪するハードルが下がることが想定されます。これらの多数の観光客によって、地域活性化が見込まれます。 サービスの組み合わせによるスマートシティの実現 MaaSにより、個人の需要に合わせた形で公共交通機関や複数の業界サービスを組み合わせて利便性と快適性を提供することが可能になります。そのため、AIやIoTのデジタル技術を駆使してデータを収集し、活用するスマートシティの実現に近づきます。 このようにMaaSを用いることで、ユーザ一個人の利便性や快適性の向上だけでなく、さまざまな地域課題を解決することもできます。これほどメリットがあれば、実現させたいと思う方も少なくないでしょう。それでは、日本のMaaS実現レベルはどの段階にいるのでしょうか。   MaaSの世界及び日本の動き MaaSの実現には以下のような統合段階があるとスウェーデンのチャルマース大学の研究者によって提唱されています。それぞれの段階について説明し、日本がどの段階にいるか明示します。 レベル1:情報の統合 2023年、日本はこの段階にいます。複数の交通機関を横断した検索のみ可能です。ただし、複数の交通機関を横断した予約や支払いをすることはできません。つまり、ユーザの目的地を考慮し、複数公共交通機関を用いて最適なルートを検索する情報は統合されています。 レベル2:予約、決済の統合 複数の交通機関を横断した検索や予約、支払いを一つのサービスとして一括で実施できるよう統合されています。 レベル3:サービス提供の統合 世界初のMaaSプラットフォームであるフィンランドの「Whim(ウィム)」がこの段階にあたります。一つのプラットフォームを個人が利用して複数の公共交通機関の利用ができる統合レベルを指しています。 […]
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