世界の自動車産業が変化しています。ガソリンを使うエンジン自動車からハイブリッド車(HEV、PHEV)や電気自動車(EV)へ、直接運転から自動運転へ変わりつつあります。自動車の部品も、産業変化に合わせて進化しています。自動運転に必要なソフトウェアや自動車セキュリティサービス、電子化や電動化された部品などが次から次へと開発されています。
自動車大国である日本でも、その変化が見られました。今回、日本の自動車産業の変化を見られた場所はオートモーティブワールド展示会でした。オートモーティブワールド展示会はカーボンニュートラル、電子化・電動化、自動運転、コネクティッド・カー、軽量化など、クルマの先端テーマの最新技術が確認できるところです。東京のビックサイトで開催された、第15回目を迎えたオートモーティブワールドは前期より2倍以上である約7.5万人が展示会に参加し、出展社も1,400社を超え、日本最大の自動車技術展といっても過言ではない大規模の展示会になりました。
オートモーティブワールドは自動運転、MaaS、コネクティッド・カー、カーエレクトロニクス、xEV技術、車の軽量化、車ぶ部品&加工EXPOに構成されており、その全体を総称する言葉として使われています。展示会の入り口から自動車向けのサイバーセキュリティに関する広告を見られました。それほど、自動車のサイバーセキュリティが重要な分野になっていることが実感できました。これから当社が視察してきました展示会当日の様子をお届けします。
オートモーティブワールドで話題になったのは、CES2023で注目したトレンドと同じである、ソフトウェア定義型自動車(SDV)と自動車サイバーセキュリティでした。数多くある展示ブースの中で目立ったのは日本TCS社であり、ソフトウェア定義型自動車(SDV)を支える5つをテーマとして様々な技術を紹介していました。その中にはEVの充電に関するセキュリティ対策が多くの人々から注目を集めました。
CASE時代の自動車は車載ネットワーク、車外ネットワークとの通信で動いているため、その通信を保護するセキュリティ対策が何よりも重要になります。それなけではなく、EV充電時もサイバーセキュリティが必要になってきます。充電時に自動車と充電器の間で個人情報や決済情報など重要情報が通信されるため、攻撃者に狙われやすいです。今年からEV充電器に関する規制が緩和されるため、日本全国でEV充電器の設置が進まれる見込みです。十分なセキュリティ対策が講じられてないまま、普及が進むと膨大な経済的、事業的損失が発生する可能性があるため、EV充電に関すサイバーセキュリティも考慮すべきポイントだと言えるでしょう。
展示だけでなく、フォーラムや セミナーもソフトウェア定義型自動車(SDV)に焦点を当てて開催されました。CES2023と同様に、これからの自動車産業はハードウェアではなく、ソフトウェア中心になっていることが主流となっていることが確認できました。特に、ソフトウェア定義型自動車(SDV)を実現するためのソフトウェアの開発、構成、検証と国際標準に対し実施すべき自動車サイバーセキュリティについてのフォーラムが多くの人々から注目を集めました。
一方、自動車とはあまり関係がなさそうに見えるかもしれない大手企業マイクロソフト(日本)が登壇してNext Generation Mobilityというテーマで「ソフトウェア定義型自動車(SDV)とクラウド」を題として講演しました。自動運転車を開発するために使われるテスト車両1台から収集するデータは膨大であるため、そのデータを分析、処理するのに必要なリソースは今のところクラウドを活用する方法しかないと言われています。CASE時代にると、そのデータ量は爆発的に増加するため、電子化・電動化された車載部品だけで処理するのはとても難しくなります。そのため、パブリッククラウドのようなシステムが必要になることが分かりました。また、ソフトウェア定義型自動車(SDV)の実現には多様なソフトウェアの開発が重要になりますが、自動車メーカー以外、例えばティアワン部品メーカーやそのパートナー企業は開発基盤を整えていない可能性が高いため、誰もがソフトウェアを開発できる環境を提供するのが重要になると言い、ソフトウェア定義型自動車(SDV)の実現に向けた開発基盤を提供するためにもクラウドは次世代モビリティにとって欠かせないものになっていくと説明しました。
日本の最大の自動車技術展であるオートモーティブワールドで確認したのは「次世代モビリティの実現に必要なもの」でした。CASE時代に必要なもの、特にEVやEV充電に必要なサイバーセキュリティサービス、自動車向けソフトウェア開発のために必要なクラウド環境の構築等、日本でも次世代モビリティに向けた動きが始まりました。
次世代モビリティに近づけていくほど、サイバーセキュリティは益々重要になります。インタネットに繋がっているコネクティッド・カー、いつでも車のソフトウェアをOTA(Over The Air)でアップデートできる自動車は、常に通信を行っているため、危険な目にいつ会うかどうかをわからない状態にあります。もしも、自動車がハッキングされたら、人の命を失う可能性もあるため、サイバー脅威への対策は欠かせないものだと言えるでしょう。
2007年から17年間、自動車のサイバーセキュリティを研究・開発して当社は、この次世代モビリティに必要なサイバーセキュリティ提供しています。次世代モビリティ向けサービスとしては車内通信セキュリティ(IVS)をはじめに、V2Xセキュリティ、車載OSS脆弱性診断ツール及び車載ソフトワイヤー専用ファジングテストツール等ソフトウェア定義型自動車(SDV)向けのサービスやEV充電時に必要なサイバーセキュリティ対策「AutoCyprt PnC」も提供しています。ご興味のある方はこちらをご覧ください。
残念ながら、 オートモーティブワールドに出展することはできませんでしたが、日本の次世代モビリティの方向性や当社と協業できる事業分野が確認できた貴重な時間だったと思います。これからも当社は安全な日本のモビリティ社会づくりに貢献するために、CASE時代・ソフトウェア定義型自動車(SDV)に必要な自動車サイバーセキュリティサービスを開発・提供していきたいと思います。