自動運転のニーズが高まっており、2023年4月1日には「自動運転レベル4」が解禁されました。自動運転は、交通事故の減少・環境への負荷の軽減・移動の利便性向上など、多くのメリットが期待されています。自動運転とEVは互いに相乗効果を生み出すため、自動運転車はEVの普及をさらに促進する可能性があります。それゆえ、自動運転車が普及するためには、EVへのシフトが不可欠です。一方、エンジン自動車は環境への負荷が大きいだけではなく、自動運転に向いていません。それはなぜでしょうか。この記事では、自動運転とEVの関係や、エンジン自動車よりEVのほうが自動運転に適切な理由について解説します。
自動運転とは、人間の代わりに車が運転するシステムのことを指します。自動運転には、レベル0からレベル5までの5つのレベルがあり、レベル0は運転をすべて人間が行うレベル、レベル5は運転をすべて車が行うレベルです。自動運転とEVは、互いに良い影響を与える関係と言われていますが、その理由は何でしょうか?おもに次のような理由が挙げられます。
・混雑した道路をよりスムーズに走行できる
・EVが搭載するバッテリーをセンサーなどに利用できる
・無駄な操作がなくなり省エネにつながる
EVの自動運転車は、エンジン自動車の自動運転車に比べて、より細かく停止と発進を制御することができます。これは、EVの自動運転車が、エンジン自動車に比べて加速と減速が速いためです。また、EVの自動運転車は、停止している間もバッテリーの電力を消費しません。そのため、EVの自動運転車は、エンジン自動車の自動運転車に比べてエネルギーをより効率的に使用することができます。
また、EVのバッテリーは非常に大容量です。そのため、EVのバッテリーを各種センサーなどの電源として利用することができます。これにより、センサーの設置に伴う電力不足に陥ることはありません。また、EVのバッテリーをセンサーなどの電源として利用することは、省エネにもつながります。
さらに、EVの高度な自動運転車は、ドライバーが運転操作を必要としません。そのため、ドライバーの無駄な操作がなくなり、省エネにつながります。例えば、ドライバーは交差点の交差待ちや渋滞中などの際にアクセルやブレーキを頻繁に操作する必要があり、これらの操作はエネルギーの無駄遣いです。EVの自動運転車は、無駄な操作を必要としないため、エネルギー効率を向上させることができます。
EVと自動運転は、それぞれが単独であってもメリットがありますが、組み合わせることでさらに大きなメリットを得ることができます。EVと自動運転を組み合わせれば、交通社会は大きく変革し、より安全で効率的になることが期待されます。
では、エンジン自動車で自動運転をすればよいのではないかと思う方もいるでしょう。エンジン自動車も自動運転することは可能ですが、いくつかの課題を解決する必要があります。
・エンジン自動車構成の単純化
・大容量バッテリー
エンジン自動車はエンジン、駆動系(パワートレインとも呼ばれています)部品、電装部品など、数多くの部品が使用されており、その構造はとても複雑です。自動運転車は周りの状況を確認できるセンサー、自動運転システムが組み込まれたECU等が必要になります。そのため、エンジン自動車を自動運転車に変えるためにはセンサーやECUなどを別途搭載する必要がありますが、現在のエンジン自動車の構造を変えて、追加部品を搭載することは簡単ではないことです。
また、自動運転のシステムは消費電力が大きいため、大容量のバッテリーが必要となります。エンジン自動車のバッテリーは小型のため、自動運転システムの消費電力に対応することができません。自動運転のシステムは、カメラなどの様々なセンサーを搭載しています。これらのセンサーは、周囲の状況を認識するために多くの電力が必要です。自動運転のシステムは車両を制御するためにも多くの電力を消費します。ゆえに、消費電力の点もエンジン自動車の課題の一つだと言えます。
自動運転はまだ開発途上にあり、本格的な実用化にはもう少し時間がかかります。現在の自動運転の課題は、大きく分けておもに次の3つがあります。
・技術的な課題
・法的な課題
・社会的な課題
まず大前提となるのは、自動運転を実現させる技術力があるかどうかです。自動運転車を実現するためには、高度なセンサーやカメラ、AI技術などの開発が必要となります。これらの技術は、現代ではまだ十分に成熟しているとは言えません。
法的な課題については、自動運転車を走行させるための法律や規制の整備が必要なことです。現在、自動運転車を走行させるための法律や規制は整備されておらず、一般のドライバーが自由に自動運転車を利用できる状況ではありません。
社会的な課題については、自動運転車が普及するために社会的な受容性が必要という点です。例えば、自動運転車が普及することで、失業者の増加や社会構造の変化などが懸念されており、ネガティブなイメージを持っている人も少なくないのです。自動運転はこのようにいくつかの難しい課題を抱えており、今後普及が進むためには課題の克服が必要になるでしょう。
自動運転はEVとセットで考える必要があります。これまで述べてきたように、EVが自動運転を実現するために有利な条件を持っているためです。自動運転は多数のセンサー、ECU、ネットワーク通信などによって成り立ちます。それらを動かすためには大量の電力は必要になります。すでにEVは電気モーターで作動している自動車であるため、他の自動車より自動運転車に適しており、効率的な自動車だと言えます。また、歩行者の飛び出しなどのような万が一の場合に対応するため、制御に対する反応速度も重要になります。EVは全て電子制御されるため、既存のエンジン自動車より反応速度が速いので、セットで開発する方が互いの技術発展によりいい影響を与えると言えるでしょう。
自動運転とEVは相性が良く、共存共栄できる関係にあります。自動運転が今後さらに普及するためには、EVの品質向上も重要なので、各メーカーによる一層の奮起と技術開発が期待されます。消費者がEVに関心を持ち続けることも、より便利な社会の実現につながるのではないでしょうか。