これからの自動車はスマートフォンやパソコンと同様に、車両の内部に搭載された通信機器によって車と車、クルマとデバイス、クルマとインフラなどがネットワークを介して連結されると予測されています。外部接続に対応する自動車は完全なる自動運転が可能になり、社会的には交通事故の減少、渋滞の緩和、運転手不足の解消などのメリットがあり、人には運転操作から解放されて自由に過ごすことが可能になるメリットがあります。多くのメリットを持つCASE時代のクルマを開発するために、最も重要だと言われているのがソフトウェアです。世界の自動車産業の潮流と同じく、日本の自動車産業もソフトウェアに対する姿勢が変わりつつあります。その姿勢が確認できたところは、2024年1月24日~26日、東京ビッグサイトで「第16回 オートモーティブワールド」-クルマの先端技術展でした。
日本を代表する産業の1つとして言われている自動車産業に関する先端技術分野の世界最大の展示会であるため、世界中から注目を集めました。また、今回の展示会でソフトウェアデファインドビークル(以下SDV)に焦点を当てたSDV EXPOが初開催されるなど、最新動向も反映した展示会でした。その結果、出展社数は前回より300社が増えた約1,700社が出展、来場者数も約7.8万人に上りました。弊社も世界最大級の展示会に出展し、国際法規を守りながら安全なクルマ作りに必要なサイバーセキュリティ技術やセキュリティテストツールを紹介することができました。
では、これからの自動車産業において最も重要になると予測されているSDVに必要なサイバーセキュリティを紹介した現場をお届けしたいと思います。
SDVにとって最も重要なのはソフトウェアですが、それに次いで同様に重要な分野があります。それはサイバーセキュリティです。UNECE WP29で採択された国際法規「UN-R155」により、自動車メーカーは車両のライフサイクル全体をカバーするサイバーセキュリティを構築する(CSMS)必要があり、開発されたソフトウェアが安全であるかを検証することが求められています。そのため、ファジングテストを利用したソフトウェアやECUの脆弱性検知、OSS管理ツールを利用したSBOM作成などが業界で広く使用されています。日本の自動車業界では、このような分析ツールやサービスの導入があまり進んでいないのが現状です。当ブースにご来場いただいた自動車業界に携わっている多くの方々も組み込みソフトウェアの脆弱性検知やサイバー攻撃を防御する対策に関する悩みを抱えていました。
最近のソフトウェア開発にはOSSも多く使われているため、脆弱性だけでなく、ライセンスに違反があるかどうかを確認することも重要になっています。しかし、ソフトウェアに使用されたOSSをライセンス違反まで管理することは難しく、適用されたセキュリティの安全性を検証することも相当な時間が必要な作業です。弊社の「AutoCrypt Security Analyzer」と「AutoCrypt Security Fuzzer」はこのような現場の悩み・課題を解決するために開発されたセキュリティテストツールです。自動化された管理機能を提供していますので、効率的なセキュリティ検証環境の構築をサポートします。
今回の展示会では、ただサービスやソリューションを紹介するだけではなく、SDVフォーラムに登壇してSDVに必要なサイバーセキュリティと国際法規に関するセミナーを行いました。主催者側から準備してくれました50席が満席になり、セミナーの後半には通路に立ってセミナーを聞いている方もいましたので、日本もSDVへの関心が高まっている一方で、自動車セキュリティや国際法規に関する多くの懸念を抱えている企業様がまだ多いと実感しました。
上記にも述べましたが、SDVもUN-R155の影響を受けるため、適切なセキュリティ対策を構築する必要があります。弊社は車種に合わせてサイバーセキュリティを企画、構築、テスト及び検証など、国際法規が求めている要件を満たすために必要なサービスを一気通貫で提供しているため、企業様のニーズに応じたサイバーセキュリティを構築することが可能です。車両ライフサイクル全体にわたる必要なサイバーセキュリティ構築ソリューションはこちらをご覧ください。
インタネットを介して繋がっているコネクティッド・カー、いつでも車のソフトウェアをOTA(Over The Air)でアップデートできるSDV、常にあらゆるものと通信を行っているため便利だと言えますが、その分ハッカーから狙われやすくなります。サイバー脅威からクルマを守るために必要なセキュリティ対策は、今まで述べてきた脆弱性の検知・管理するツールだけでなく、持続的に自動車のセキュリティ状況を把握できるシステム(車両SoC)や車両ネットワークへ侵入する不正アクセスを検知・遮断する(IDSとIPS)セキュリティ対策など、考慮すべきポイントがたくさんがあります。セキュリティ対策の構築に慣れていない企業様は「どこからサイバーセキュリティを適用すればいいか、構築したセキュリティが国際法規の基準を満たしているか不安」という不安や悩みを抱えていると思われます。
弊社は2007年から17年間、自動車のサイバーセキュリティを研究・開発してきた弊社はSDVに必要なサービスも提供しています。脆弱性検知・管理するツール以外にも、車載ネットワーク・ECUへの侵入監視・防止システム「AutoCrypt IDS」、 セキュアなV2X通信をサポートするソリューション「AutoCrypt V2X-EE」、PKI基盤のセキュリティ証明書管理システム「AutoCrypt V2X-PKI」など、車両に必要なサイバーセキュリティは全てそろっており、お悩み事や不安なことを解消できるサービスやコンサルティングを提供できる豊富な経験を持っています。
幸いなことに、初めての出展にもかかわらず、多くの方々が弊社のブースに立ち寄り、自動車のサイバーセキュリティに関心を示しました。来場客の中ではOEM、サプライヤー企業様が多かったので、サイバーセキュリティに対する認識が高まっていると実感しました。第16回 オートモーティブワールドに出展して弊社のサービスとソリューションを紹介し、フォーラムに登壇してSDVのセキュリティ対策と国際法規に関するセミナーを行いながら、企業様が抱えている課題を確認できた貴重な時間だったと思います。これからも当社は日本のSDVを発展させるために必要な自動車サイバーセキュリティサービスを開発・提供していきたいと思います。
今回の展示会で紹介したサービスおよびソリューションの詳細はこちらのURLをご覧ください。