現代の自動車技術の進化に伴い、インターネット接続機能をもつコネクテッドカーが急速に普及しています。これにより、ドライビングの利便性が向上すると同時に、サイバーセキュリティリスクも増大しています。特に、2015年に発生したジープ・チェロキーのリモートハッキング事件では、ハッカーが遠隔操作で車両の制御を奪うという衝撃的な事例がありました。 こうした背景もあり、自動車のサイバーセキュリティ対策が急務であることが明確になりました。そこで、型式認証(VTA:Vehicle Type Approval)の条件にサイバーセキュリティ対策が追加されました。本記事では、自動車サイバーセキュリティの重要性と、それに密接に関連する型式認証(VTA)の仕組みについて分かりやすく説明します。 弊社は技術機関として指定され、VTA(車両型式認証)制度に基づき、中立な立場でサイバーセキュリティに関する審査を行っています。詳しくはこちらをご覧ください。 型式認証(VTA)とは何か 型式認証(VTA:Vehicle Type Approval)とは、製造された新型車両が各国の法的基準を満たしていることを証明するための制度です。この認証を受けることで、車両は合法的に市場にリリースされます。VTAの主な役割は、車両の安全性、環境性能、およびその他の法的要件を確認し、消費者に安心して利用してもらうことです。VTAの対象となる自動車は、乗用車、商用車、二輪車、トラック、バスなど多岐にわたります。各国の規制に応じて、これらの車両が市場に投入される前に、必要な認証を取得する必要があります。 VTA取得のプロセス VTAの取得プロセスにはいくつかのステップがあります。まず、製造者は車両が規制基準を満たしていることを確認するために必要な書類や試験データを準備します。次に、認定された技術機関が提出された書類や試験データを審査し、必要に応じて車両の実物試験を行います。すべての基準を満たしていると確認されれば、型式認証が発行されます。 CSMSとSUMSの重要性 VTA取得には、CSMS(Cyber Security Management System)とSUMS(Software Update Management System)の導入が必須です。 これらのシステムの法的根拠として、2019年に施行されたUNECEの新規則があります。この規則により、車両メーカーはサイバーセキュリティリスクを評価し、適切な対策を講じることが義務付けられています。 CSMSの認証を受けるために必要なサイバーセキュリティ CSMSには、車両の設計から運用までのサイバーセキュリティリスクを管理するシステムです。以下の要素があります。 1. […]